現代のデータ社会を支える半導体・光チップは、巨大な工場と莫大な電力、超純水を消費する「トップダウン(削り出し)プロセス」に依存しています。私たちは、この環境負荷とイノベーションの停滞をもたらす「巨大インフラ依存」からの解放を目指しています。
我々のアプローチは「ボトムアップ(加算プロセス)」。削るのではなく、机上のプリンタで「必要な場所に、必要な分だけ材料を置く」。真空装置もクリーンルームも不要な「Table-top Fabrication(製造の民主化)」が、光テクノロジーの新たな常識を創ります。
印刷ベースの光デバイス製造において鍵となるのは、複雑な化学構造ではなく「高い屈折率」と「微細加工適合性」を両立した機能美を持つ有機材料(ソフトマテリアル)です。
我々はこの「流れるガラス」とも言える材料をピコリットル単位で制御します。印刷直後の液滴は、自らの「表面張力」を利用した自己組織化によって、研磨を一切必要とせずに原子レベルの平滑面(微小光共振器)を自発的に形成します。自然の力を借りることで、低閾値レーザーなど光の集積素子を実現します。
PS
PMMA
PDMS
インクジェット: ピコリットルの液滴を非接触で配置し、自己組織化によりナノ構造をオンデマンド構築する主力の筆。
マイクロ/ナノディスペンス: 表面張力を操り、あたかも書道のように導波路を基板上に直接描画する接触式造形技術。
ナノスクラッチ & フローエッチング: 探針やマイクロ流路の液流を用い、プラズマや有害な化学薬品(レジスト・マスク)を使わずに、材料の局所除去をオープンエア下で行う革新的な「引き算」の技術。
インクジェット
マイクロ/ナノディスペンス
ナノスクラッチ
硬いシリコンチップからの解放は、デバイスに「柔軟性」という新たな命を吹き込みます。あらゆる曲面や生体、自然インフラにシールのように貼付できる光センサーネットワークの構築が可能になります。
「大量に作って、削って、捨てる」時代は終わりました。必要な時にその場で印刷し、用済みになれば自然に還す、あるいは分解して再構成する。テクノロジーが自然の循環サイクルに寄り添う、真のサステナビリティ(光のエコシステム)の実装に向けて、私たちの研究は加速し続けています。